11月から2月までの3回の連続講座で、作品はあるけれど発信の仕方がわからないと感じている支援者や作者を対象に、相互の交流と、発信するための知識や手法の取得を目的に、最終的にはともに展示会を作りあげるまでを学ぶ、「交流&実践セミナー はじめの一歩」と題したセミナーを実施しました。
今回のセミナーは、令和7年度に本県で開催される全国障害者芸術祭に向け、県内で継続的に創作活動を行っている作者とその作品を発掘し、横のつながりを強めて、みなで芸文祭を楽しもう、というテーマのもと、企画しました。
講師に県美術館の学芸員、森園淳さんを迎え、グループワークのファシリテーターには、県内で積極的に表現活動の発信に取り組む、ながさきRぶりゅっとの徳永さん、社会福祉法人遊歩の会の馬場さん、社会福祉法人南高愛隣会の松尾さん、福塚さんにご参加いただきました。
第1回目は11月21日、県美術館ホールにて開催しました。初回のテーマは「作品の新たな魅力を発見しよう」。受講者がそれぞれ作品を持ち寄り、見せ合いながら、自分が感じる作者や作品の魅力を語り、グループのメンバーと意見を交わし合いました。話をするなかで、自分では気づかなかった作品のすごいところ、個性や特徴に気づくことができました。
第2回目は12月18日、県美術館ホールにて、「作品をどう発信していくか考えよう」をテーマに開催しました。今回は実際に展示することを念頭において、どの作品を展示するか…どんな額装にするか、紹介文(キャプション)にするか…などを考えていきました。講師から作品選定のポイントや題名の意義、キャプションの役割について説明を聞いたうえで、グループワークで意見を交わしながら、考えていきました。
セミナーの中では展示作品を決めるところまでを行い、キャプションの作成と額装は、受講者がそれぞれ持ち帰り、一ヶ月間かけて取り組んでもらいました。はじめての作業で戸惑いも苦労も多かったでしょうが、それだけ真剣に作品や作者と向き合う時間となったようです。作成されたキャプションからは、支援者と作者の熱い、温かい気持ちがあふれていました。
そうして迎えた第3回は、2月6日に県美術館運河ギャラリーにて、「作品を展示してみよう」をテーマに、実際に展示作業を行っていきました。事前に講師に作品の展示順と全体レイアウトを決めていただき、当日、受講者が額装し持ち寄った作品を、2人1組になって展示していきました。いろいろな展示のテクニックを教わりながら、メジャー片手に奮闘した受講者たち…。完成した展示場はとても雰囲気のある素敵な空間となりました。展示作業後は、展示準備や展示作業の感想を発表しあい、気づきを共有しました。
その後、展示会は2月7日から12日まで一般公開しました。ランタンフェスティバル期間中ということもあり、多くのお客様に見ていただくことができました。また、受講者とともに鑑賞に訪れた作者の方も多く、日頃の表現活動が形となり展示されているところを見て、みなさん喜んでいました。
当支援センターでは、事業所や地域でのアート活動の後押しとなるべく、これからもセミナーを開催していきます。